
早期復帰にも期待以上のパフォーマンスを見せるグラシアル
打線のキーマンである
柳田悠岐、
中村晃抜きでも、投手力で勝ってきた。ただ、ロースコアの試合では緊張感と閉塞感が強まる。そんな状況を打破したのがY.グラシアルだった。5月3日の
楽天戦(ヤフオクドーム)で左ワキ腹痛から戦列復帰。いきなり本塁打を放ち、打線にもう一本、芯をつくった。自ら打ち、周囲へのマークも分散させた。
4月6日に出場選手登録抹消。27日に三軍で実戦復帰した。月が替わって二軍で2試合に出場したところでの昇格。まだフル出場もしておらず、当初の予定では昇格検討はもう少し後だった。2試合で計1得点の貧打解消のため、急きょ前倒し。それでも「チームの状況は分かっていたから。とにかく早く一軍に戻れるようにやってきた」「自分には今までのキャリアがある。それが助けてくれた」と、こともなげに言う。
工藤公康監督も最敬礼だ。「体が良くなってまだ(二軍で)2試合しか出てない中で上(一軍)に呼んで。感覚的には少しずつ戻ってきてはいるんでしょうけど、万全ではない中でしっかり結果を残して。すばらしい集中力。よく頑張ってくれている」。優良助っ人とは、このことだ。
復帰した5月3日、グラウンドには映画『ロッキー』のテーマが流れた。試合後もトレーニングを欠かさず、いつもストイックな男。同郷キューバの助っ人勢の計らいだった。ホームラン後にシャドーボクシングで
高谷裕亮をKOするグラシアルのパフォーマンス。これから何度も見られそうだ。
写真=湯浅芳昭