
平成最後のホームゲームでバック宙を披露した明石
ホークス一筋16年のユーティリティープレーヤーが、ファンの度肝を抜いた。4月25日の
オリックス戦(ヤフオクドーム)、延長10回。
明石健志が右翼ポール際へのサヨナラ3ランを放った。沸き返る本拠地のボルテージをさらに高めたのはダイヤモンドを一周した後。出迎えるナインを前に側転からの軽やかなバック宙を披露した。
秋山幸二前監督をほうふつとさせるバック宙ホームイン。「秋山さんにあこがれ、サヨナラ本塁打を打ったらしようと思っていた。16年間温めてきたので。ここしかないと」。長年の思いを乗せた。
そんなド派手なパフォーマンスを見せる身体能力は万能性にも生かされている。本職は二塁ながら今季も一塁や外野での出場もある。キャリアでは遊撃や三塁も経験。「いろいろできるように」。チーム状況に合わせ、首脳陣の起用の幅も広がり、貴重な戦力として重宝されている。
野手ではダイエー時代を知る唯一の生え抜き選手となった。古傷の腰痛にも苦しめられ、2月には脊椎全内視鏡ヘルニア摘出手術を受けた。それでも驚異の回復力で早期復帰すると、故障者続出の戦線に戻ってきた。「状態はいい。(腰が)抜けそうな感じがない」と、万全アピールのバック宙だった。
もちろん、ユーティリティーに甘んじているつもりはない。「ガンガン来る若手を阻止する立場でいたい」と33歳は闘志を燃やす。平成最後の本拠地でのバック宙はファイティングポーズでもあった。
写真=湯浅芳昭