
判断力もピカイチだ
ドラフト1位ルーキー・
辰己涼介が自慢の俊足で魅せた。6月12日の
ヤクルト戦(
楽天生命パーク)。1点リードの3回二死一、二塁。辰己が放った投前への打球を相手先発・館山がはじいた。打席から一塁までの到達タイムは約3秒7。50メートル走5秒7の快足を飛ばすと、内野安打に。二死満塁の好機で
ウィーラーの2点適時打を呼び込んだ。
この内野安打は、能力の一端を見せただけに過ぎない。守備でも魅せた。4回に2点を返され、1点差に詰め寄られて迎えた5回。先頭の
山田哲人が放った右中間への大きな当たりをダイビングキャッチ。球場中から割れんばかりの拍手が送られた。「走りながら、タイミング的には飛び込んでギリギリかなと思った。風で(打球が)戻される感じだったので、正解だったかな」と充実感を漂わせた。
仮に山田哲の打球が右中間に転がっていれば、試合はどうなっていたか分からない。
平石洋介監督も「あれはすごいプレーですよ。反応といい、落下地点までのボールの追い方といいね。追い方に関してはまったく無駄がなかった」と絶賛。単純な足の速さだけでなく、打球の追い方も評価した。
4月は月間打率.190と苦しみ、4月22日に二軍降格。ただ5月3日に昇格すると、足だけでなくバットでも存在感を発揮している。ただ本人に満足する様子はない。「心から満足できた試合は1試合もない。必死に食らいついていきたい」。自慢の足と同様に、驚異の速さでプロの戦いに順応していく。
写真=BBM