
さらなる加速を目指す
狙い澄ました一撃だった。6月14日(
楽天生命パーク)の
広島戦。まずは2回だ。
浅村栄斗が広島先発・
床田寛樹のカーブを右翼席へ運んだ。「変化球を狙っていた。(右方向は)理想の打球方向なので良かった」。
全12球団からアーチを達成すると、勢いは止まらない。6点リードの4回、
薮田和樹の145キロ直球を強振した。右翼席への16号ソロは、楽天加入後初となる2打席連続弾。11対2の大勝に貢献した。
開幕から不動の三番として引っ張る。交流戦終了時で、逆転勝ちはリーグ最多の21度。「逆転の楽天」の主役の1人は、間違いなくこの昨季打点王だ。7月2日の
ソフトバンク戦終了時点で、打率.287。44打点。本人としては物足りない成績かもしれないが、
平石洋介監督は「相手の投手は必ず初回に(対戦が)回ってくる。状況に応じてどこでも打てる。それほど脅威な打者はいない」と絶大な信頼を寄せる。
小谷野栄一打撃コーチは「どの打者にも、好不調の波はあるけど浅村は、それ(不調)を見せない。なかなかできることではない」と目を丸くする。投手によってタイミングの取り方を微調整し、時にはバットを変えるときも。交流戦中には「積極的にいくけど、打つのは甘い球だけ」と打席での狙いも変えていたという。
勝負強さに加え、選球眼も存在感も別格。経験に裏打ちされた引き出しの多さで、中軸としての責任を果たしてきた強打者を前半戦のMVPとする。
写真=BBM