
腰の違和感やコンディション不良を乗り越えて8月21日に10勝に到達した巨人の菅野智之
エース・菅野智之のプロ7年目は、かつてない苦しみとの戦いとなった。
前半戦はファンが目を疑うような光景が続いた。5月15日の
阪神戦(東京ドーム)は、4本塁打を浴びてプロ初の2ケタとなる自己ワーストの10失点。同21日に出場選手登録を外れた。理由は「腰の違和感」。体調管理に余念がない男を苦しめたのは、巨人入団以降は初めて異変が起きたという腰だった。
再び一軍の戦列に戻るも、6月23日の
ソフトバンク戦(東京ドーム)でプロ入り最短となる2回途中4失点KO。腰の状態は万全ではなく、エースは「見てのとおり。チームメート、ファンに申し訳ない」と唇を噛んだ。
原辰徳監督も「リズムもへったくれもあったもんじゃない。みんなで積み上げて交流戦の優勝戦という形に持ち込んでいる。1人の選手に任せるわけにはいかない」と厳しい言葉で奮起を促した。
それでも徐々に本来の姿を取り戻している。7月2日の
中日戦(東京ドーム)では6安打完封。昨季8完封の右腕にとって、今季12試合目で初めての完封だった。その後も勝ち星にこそ恵まれなかったが6回までマウンドに立つ試合を続け、成績を安定させた。8月14日の
広島戦(マツダ広島)では8回1失点で9勝目を挙げ、「野手のみなさんに助けてもらうことが多いので、感謝の気持ちを忘れずにマウンドに上がっている」と言葉に実感を込めた。そして同21日の中日戦(ナゴヤドーム)では10勝目をマーク。エースの復調こそが、V奪回へ向けて何よりの追い風になる。
写真=BBM