
絶妙なスタートと快足でホームを陥れた岡
よく見ておかなければ、気づかないようなプレーだった。8月28日の
楽天戦(楽天生命パーク)、4対3と1点をリードした6回一死二、三塁。
平沢大河はスクイズを成功させた。あっさりと決まったように見えたが、立役者は三塁走者・
岡大海が演じたぎりぎりの「演技」だった。
「絶対に(スクイズを)外されないタイミングでスタートを切りました。相手投手のモーションが大きかったのもよかった。ベストのタイミングだったと思います」
楽天の投手は右投げの
宋家豪。三塁走者の動きは丸見えになる。だから、ぎりぎりまで待った。スクイズのサインが出れば、三塁走者には可能な限り、早くスタートを切りたいという心理が働くが、投球動作に入っても岡は動くそぶりを見せなかった。
一死二、三塁だったこともあり、宋家豪が大きく足を上げる投球フォームにしていることも、サインが出るまでの3球でしっかりと確認していた岡は、上げた左足を下げながら打者に正対し、投手の視線が切れた瞬間にスタート。楽天バッテリーが対応できない絶好のタイミングだった。
スクイズを決めた平沢も、「岡さんが走者だったので転がすことだけを考えていました」。チームトップクラスの快足に加え、相手を無警戒にさせるまで“気配”を消したことが、この作戦を成功に導いたと言える。
目に見えないファインプレーもまた、プロ野球の醍醐味だろう。
写真=BBM