
身体能力の高さは誰もが認めるところ
迷いは一切なかった。8月31日の
日本ハム戦(
楽天生命パーク)。1対0で迎えた8回二死一、二塁。
辰己涼介はカクテル光線を浴びながら、一目散に飛球を追い掛けた。そして、勢いよく跳ねた――。
代打・
田中賢介の放った中前への打球をダイビングキャッチ。一打同点の危機を救った超ファインプレーに、本拠地の楽天ファンは割れんばかりの拍手で称えた。
田中賢の、外角変化球をこすった当たりだった。「ボールの回転も頭に入っていた。いけるかなと思った」と充実感をにじませた。
7回から守備固めで投入されたルーキーが、期待どおりの働きを見せた。何とか1点を守って逃げ切ったとあって、
平石洋介監督も「辰己の守備は素晴らしかった」と手放しで褒めた。
今季は何度も好守でチームを救ってきた。5対3で勝利した6月18日の
阪神戦(倉敷)では、同点で迎えた6回先頭、
大山悠輔の左中間を破るかに見えた当たりを、快足を飛ばしてナイスキャッチ。ピンチを未然に防いだ。
「辰己の守備で何より素晴らしいのは、打球の追い方ですね」と指揮官。打球の落下地点を一瞬で、正確に予想する判断力はプロでもトップレベルにあると言える。
「勝利に貢献できたことは良かった。でも打撃はまだまだ。レベルアップして、もっと勝利に貢献したい」と辰己はさらなる成長を誓った。肩の強さも、身体能力も超一流。経験を積み、どこまで成長するか。この先が楽しみだ。
写真=BBM