
一軍で生き残るため、思い切り打者の内角を突いて、存在感を示してきた守屋
プロ野球界で5年目と言えば、ひとつの区切りになる。社会人出身だった
守屋功輝にとって、まさに今季は背水のシーズンだった。
今シーズンの初登板でさえ「最後のチャンスと思って投げた」というほどの悲壮感だったが、その後の働きは、勝っても、負けても「守屋」という状況になっていった。
初の一軍春季キャンプで自信をつけた開幕前は「40試合から50試合は投げたい」と目標を掲げた。その時点での活躍は未知数だったが、度胸のある投球で、その数字をクリアした。
DeNA、
広島、
中日……と、同一カード3連戦3連投をやってのけた。左の島本と並んで、貴重なリリーフ役を演じ、チームに貢献してきた。
特に、6月2日の広島戦(マツダ広島)で、2点差に迫られた6回二死一、二塁の場面で
ガルシアの後を受け、四番・鈴木を見逃し三振に仕留めた成長を見せた。
小さいころからの
阪神ファンで矢野ファン。昨シーズンは二軍で39試合に登板し、ファーム日本一をアシストした。矢野監督の一軍昇格で、守屋が中継ぎに抜てきされた。
シーズン終盤になって疲労も蓄積したのか苦しい登板が続いた。だが福原投手コーチが「この経験が自信になるはず」と評価したように、ほぼシーズンを通して投げ抜いた。
本人は「左打者にも、右打者にも内角を使わないと抑えることができない」と懐を突いてきた。生き残りをかけた勝負の1年は、来季につながるマウンドだった。