
ガンの手術から復帰後初となる甲子園の打席でサヨナラ打。感動の復活劇となった
今年の交流戦は6勝10敗2分けだった。2年連続負け越し。それでも劇的なサヨナラ勝ちでファンを感動させたシーンがあった。
6月9日の
日本ハム戦(甲子園)。同点の9回二死二、三塁。代打・
原口文仁が告げられた。その原口が、秋吉の3球目の外角スライダーに食らいつくと、打球は中前に弾んだ。
大腸ガンからリハビリを経て一軍復帰してから5戦目だった。「僕がこうやって生きて、同じような人の力になれば」と声を上ずらせた。
昨季は球団タイ記録の代打シーズン23安打をマークし、今季もフルで働くつもりだっただけに、原口のガンによる離脱は衝撃的だった。
本人が「ちょっと野球を見過ぎて、妻がかわいそうなぐらいでした」と振り返るほどつらい毎日だったが、そのカベを乗り越えた。
この試合で原口をお立ち台に導くポイントになったプレーは、同じ捕手・梅野の思い切ったパフォーマンスだ。
2点ビハインドの7回だった。梅野の二塁打で二、三塁。高山の遊ゴロで1点差、一死二塁から北條の打席でまさかの三盗を試みた。
これが日本ハムの捕手・清水の悪送球を誘って、梅野が同点ホームイン。「根拠と意図、勇気を持って走った」と思惑通りだった。
原口がサヨナラ打を決める9回は、二死から高山、北條が連打。今季初だったイニングまたぎ登板の藤川に「代打・原口」が告げられた。
試合後には矢野監督が「自分のことでは泣いたことがないんだけど」と震えるほどで、涙、涙の勝利となった。