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山口 翔
山口翔の心に火がついた。「村上に先に獲られたので……」。昨年、同郷・熊本出身で同学年でライバル視する
ヤクルトの村上が「新人王」を獲得した。村上が放った36本塁打には、昨年8月22日のヤクルト戦(マツダ
広島)で山口が浴びた一発も含まれている。「真っすぐでリベンジしたい」と闘志を燃やした。
「最低5勝したい。そして新人王を獲りたい」
高卒3年目の右腕は、プロ初先発した昨年5月30日のヤクルト戦(神宮)で7回1安打無失点でプロ初勝利。しかし、その後5試合で先発を任されるも、2勝目が遠かった。当初は真っすぐに手応えを感じていたというが、「途中から投げられなくなった。腕も振れていなかった。自分の中で思うように投げられなかった」と振り返った。
「もう一回初心に帰って、“打てるものなら打ってみろ”と。もっと真っすぐを極めたい」
より瞬発力を鍛えるべく、このオフに着手したのがボクシングだ。中村祐らに誘われ、年明けから広島市内のトレーニング施設に週3日のペースで通い、1日3、4時間汗を流し続けている。課題としていたリリース時の出力を意識し、改善に取り組んだ。「力感なく、投げる瞬間だけピュッと力が出せるようになった」と手応えを口にした。
将来的な直球スピードの目標を「160キロ」に定める。鍛錬を重ね、成長した直球でライバルをねじ伏せ、リベンジを果たす。
写真=BBM