
上林が熾烈なレギュラー争いを制す
年末年始の
上林誠知は国内外を飛び回っていた。昨年末はアメリカ・ロサンゼルス。年が明けると鹿児島県鹿屋市で、肉体改造に励んだ。「ベストのパフォーマンスが出せる体」を目指した。昨季は死球による右手甲骨折の影響が尾を引き、99試合出場で打率.194。「そろそろちゃんとした結果を残さないとクビも近い。ファンの方にも忘れられていると思う。また思い出してもらえる一年にしたい」と口にする。
近年、チームでは毎月、体重や体脂肪率などあらゆる数値を測定。そのデータから「2017年の5月、18年なら6月。しっかり結果が出ている時期の状態に近づけてられたら」と導き出した。当時は体重83キロ前後、体脂肪率11~12パーセント。それら基礎データを、今の体に落とし込む。
外野の競争は厳しい。不動の柳田に、新加入の
バレンティン。
グラシアル、
中村晃の立場すら保証されていない。「本塁打を打つ選手はたくさんいる。スピードは自分の強み。安打を打って、出塁してかえってくるのが仕事」。上林には肉体改造で俊敏なところを見せたい思いもある。
福岡県筑後市のファーム施設で体を動かす上林の姿を、新任の
平石洋介打撃兼野手総合コーチもじっと見つめていた。「昨年苦しんだけど、いい表情をしていた」。昨季まで
楽天ベンチから見ていた。「持っている能力はすごく高い。楽天はなんで獲らんかったんやろうと思っていた」。口調はジョーク交じりだが、メッセージは言葉のままだ。
写真=湯浅芳昭