
ボールをとらえるミート力は天性の素質を感じさせる。3年目の今季、ライバルとの競争に勝っていきたい
「ポスト・筒香」の座をつかむのは誰か。
ラミレス監督は若い
佐野恵太を新主将に抜てきして四番の後継者に指名したが、空いた外野の一角を狙う有力選手は他にも多い。今季大きく開花する予感を漂わせるのが3年目の
楠本泰史だ。
巧みなバット操作は、プロ1年目に打率3割以上をマークした
坪井智哉打撃コーチが「入団時からほとんどいじる必要がなかった」と称賛するほど。昨季はオープン首位打者に名乗り出て、開幕戦で2安打3四死球と強烈なインパクトを残した。勢いを続けることはできなかったが、6月9日の
西武戦(横浜)で代打逆転満塁本塁打を放った。プロ初ホームランで記録するのは1975年の
久保俊巳(
広島)以来、プロ野球史上以来2人目の快挙だった。
オフは同僚の
伊藤光と自主トレを行い、歩行姿勢など体の使い方を一から学び直した。その中で「筒香さんは『私生活から野球につながるように』と仰られていたのを思い出した」。入団以来、受けてきた助言の意味もより理解できるようになり、打撃フォームの改善につながっているという。
レギュラー定着のチャンスという声については「自分で一番分かっている」と口元を引き締める。その一方で「これまでは気合いが入りすぎて空回りしてきた。今年はそれを意識せず、自分のやるべきことに集中する」とも。新外国人
オースティンや復活を期す
桑原将志、長距離砲の
細川成也らライバルは多いが、静かに燃やす闘志は、手応えの証しだ。
写真=太田裕史