
かつの本塁打王が、レギュラー再奪取へ順調に調整を続けている
目の色が違う。オフにはプエルトリコでのウインター・リーグに参加して、武者修行を積んだT―岡田が、今季へ確かな手応えを感じている。オープン戦は27打数8安打で打率.296。チームトップの3本塁打もマークして「良いものが出せてよかった。開幕したら、もっと良いものを出せるようにやっていきたい」。と“浪速の轟砲”が、豪快な一発だけでなく確実性も増している。
完全復活への発見があった。復調の兆しが見えたのは、3月13日の
阪神戦(京セラドーム)で
藤川球児から放った本塁打だ。試合前のフリー打撃で、
後藤光尊打撃コーチから「打席で楽に構えられるようにしたらいいんじゃないか?」と投球を待つ際のバット位置を指摘された。
そんな助言もあり、打席で構える際に背中に倒していたバットのポジションを変えた。春季キャンプ序盤からバットの位置を背中方向に固定して打っていたが、やや三塁側ベンチの方向に揺らすことでタイミングを取れるようになった。
T―岡田は「自分は(手と足の)両方を動かしながら。いつでも動き始めれるような準備です。自然と動いてるほうがベスト。試している段階です」と“リラックス打法”に手応えを感じている。助言を送った後藤打撃コーチは「見て、感じたことを伝えるのが仕事。あとは彼がどう決めるか。その繰り返しですね」と、静かに背番号55の復活を願う。
昨季は出場20試合に終わった。打率.120、1本塁打、2打点と低迷しただけに「レギュラーを確約されているわけではないので、信頼されるように頑張ります」と力を込める。
苦しんだ日々は、決してムダにはならない。眠っていたバットから火を噴かせる準備を整えている。
写真=BBM