
2020年も先発ローテの中心としての活躍が期待される有原
開幕投手に内定していた
有原航平は淡々と現実を受け止めていた。1度目の開幕延期が決まった直後の3月10日。「試合があるときに投げるしかない。与えられたところで投げるだけなので。とまどいはないです」。冷静に、そして端的に言葉を紡いだ。自分でコントロールできる事態ではない。出来ることを尽くすだけと前だけを見据える。
自身2度目の大役は2月21日に
栗山英樹監督から通達された。記者発表は午後2時21分21秒の「21」並び。球団では38年ぶりとなる20勝超え投手の誕生を期待されての時間設定だった。タピックスタジアム名護の監督室に呼ばれた際には、京セラ創業者の稲盛和夫氏の著書「心。」にメッセージを添えて渡された。指揮官は「自分をコントロールする、支配することが一番難しいこと」と意図を話した。
2019年シーズンは心の成長がエースへの道を切り開いた。かつては心の動揺が投球内容に現れることも多かったが、昨季は自分自身を制御しきって初の最多勝を獲得。さらなる精神面の成長を願って、投手陣の「キャプテン」にも指名された。「離脱せずに投手陣を引っ張っていけるように頑張りたい」。求められるのは絶対的な安定感で常にチームに勝利をもたらす投球だ。
栗山監督は「航平と心中。有原航平がしっかりやらなければ優勝しないシーズン」と言い切る。開幕日がどれだけ後ろになろうが、変わることはない決意にも似た方針だ。おそらく開幕日が決まれば、有原で先陣を切ることになるだろう。近い将来のメジャー移籍も視野に入れている北の絶対的なエースは、大車輪の活躍が出来る日々を今か今かと待ち望んでいる。
写真=BBM