
得点力アップへ、今宮の好機演出がカギを握る
バレンティンが加わり、破壊力も増した打線の中で、とりわけ二番に強いこだわりを持つ男がいる。現役最多の通算299犠打を誇る
今宮健太だ。昨季はその役割を全うできなかった。今季は二番での完走が目標。「今は二番しか見えない」ときっぱりと言い切った。
昨季は三番に座ることもあったが、やっぱり二番こそ自分を生かせる。高いバントの技術に加え、エンドランなどの小技も巧み。一方で4年連続2ケタアーチと力強さも兼ね備えている。自身が離脱したこともあり、昨季はめまぐるしく二番が入れ替わった。13選手が二番のスタメンを経験。
牧原大成や
周東佑京に加え、
柳田悠岐や
中村晃も名を連ねており、首脳陣の苦悩の跡がうかがえる。だからこそ今宮は「二番の仕事の大事さを感じている。リーグ優勝したいので、そのために自分が何をするべきなのか」と自覚をする。
二番としての実績は抜きん出ている。2013、14年にはパ・リーグ記録のシーズン62犠打をマーク。不動のレギュラーとして着実に打力も上げてきた。今季は強力クリーンアップが予想され、その前を打つ一、二番の役割が極めて重要になる。開幕延期の影響で試合数も減り、「6.19」から全開が求められる。当初の目標はシーズン20発を挙げていたが、「120試合で厳しいけど、それよりもバレンティンの打点を増やせるように。つまり僕の得点を上げる。そこを目標にして頑張りたい」と一発よりつなぎを大事にする姿勢を示した。
球界屈指の守備力は誰もが認める。リーグ優勝奪回、その先の4年連続日本一を見据えて、二番を誰にも渡さない。
写真=湯浅芳昭