
ギリギリで開幕に間に合った高橋礼。中継ぎ待機は頼もしい
春季キャンプで左太もも裏を痛めてから約4カ月。故障明けの高橋礼は6月4日、
オリックスとの練習試合(京セラドーム)で今年初の対外試合に登板した。5回からマウンドに上がり、8回こそ先頭の
後藤駿太にソロを浴びたものの、「思ったより強い球があった。捕手は強い球が来ていたと言ってくれた。カウントを稼ぐことができるかな」。球威に自信が持てた。
中4日で再びオリックスとの練習試合(PayPayドーム)に、今度は先発で登板。毎回走者を背負いながらも4回を無失点に抑えた。3回のピンチでT-岡田、
吉田正尚から、いずれも真っすぐで連続の見逃し三振を奪う場面もあったが、持ち味のテンポの良さを発揮するには至らなかった。事実、
工藤公康監督もこの時点で「先発の中に入れるかどうかはまだ分からない部分がある」と言葉を選んだ。
復活途上だけに、他投手より起用には慎重を期する。一方でアンダースローの希少性があるのも確か。指揮官には「急激に(イニングを)伸ばすより、徐々に」。ほかの先発陣もそれほど球数を増やせていない開幕当初は、ロングリリーフもできるジョーカー的な存在となりそうだ。
12勝で新人王に輝いた昨季の実績もあるが、まだまだであることはほかならぬ本人が一番、自覚していた。他投手のような調整のステップは踏んでいない。「(開幕は)ギリギリですかね。技術的な部分を向上させるにはまだ早いし、余裕はない。『ここをこうしよう』というより、最低でも昨年の状態を、という認識」。いずれにせよ当初開幕日では立てなかったスタートラインに立てる状態。静かに闘志を燃やし、水面下から浮上する。
写真=湯浅芳昭