
開幕スタメンを飾るなどチームに新風を吹き込んだ野村。それだけにケガが惜しまれる
開幕直前、高卒2年目の
野村佑希が暗闇を照らす閃光のように表舞台に飛び出した。6月2日からの練習試合で5戦3発と、思い切りのいい打撃でアピールに成功。「八番・三塁」で開幕スタメンを勝ち取った新星は、6月25日の
楽天戦(楽天生命パーク)の3回にプロ初安打をマーク。勢いに乗って6回には二塁打、8回には適時三塁打とプロ初の猛打賞で3打点を挙げ、チームの勝利に大きく貢献した。
降って湧いた目の前のチャンスをつかんだ。チームが正三塁手候補として獲得した
ビヤヌエバが、5月末に虫垂炎手術で離脱。思わぬ形で出遅れることが決定したことで、空いたポジションにハマったのが、開幕延期期間で著しい成長ぶりを発揮した野村だった。
1年目の昨季は8月末に左股関節後方亜脱臼で戦線離脱。二軍戦の試合前練習中に起きたアクシデントで、全治5カ月の大ケガだった。地道なリハビリの末に今春キャンプからようやく全体練習に合流。3月20日の通常開幕ならば、間違いなく二軍スタートだったが、コンディションに不安がなくなってきた自主練習期間に
広島・
鈴木誠ら右の強打者の打撃フォームを研究。必死に結果を求める姿と将来性の高さを買われた。
チームの中で希望の光となっていたが、7月7日の
オリックス戦(京セラドーム)で右手小指を骨折。守備時に打球が直撃するアクシデントで離脱が決まった。ただ、開幕から無我夢中で突っ走って残した数字は評価に値する。13試合出場で打率.217、2本塁打、8打点。近未来にはクリーンアップを打たなければいけない逸材は、この経験と悔しさも今後の糧にして、さらにひと回り大きくなって帰ってきてくれるはずだ。
写真=BBM