
今季4度目の登板となった7月12日の阪神戦(甲子園)では敗戦投手となったものの、6回を1失点と試合はつくった
チームが待望した「右のエース」誕生と言っていい。プロ入り7年目で初の開幕ローテーション入りを果たした
平良拳太郎がブレークの予感を漂わせている。開幕から4試合に登板して2勝をマークし、防御率1.08と
今永昇太をも上回る安定感を発揮している。
好投を支えているのは右サイドハンドから低めに集める制球力と変幻自在の投球技術だ。フォームを注意深く観察すると、右腕の角度や左脚を降ろすタイミングに変化を付けているのが分かる。また、同じシンカーやスライダーでも数種類の握り方を操っており、異なる軌道で投じているという。昨季は右肩痛で出遅れながらも2年連続の5勝をマーク。オフに下半身を強化して臨んだ今季は直球に力強さが加わり、打者に狙いを絞らせない投球の幅が広がっている。
5回にさしかかると崩れていたスタミナの課題も解消し、今季初登板は
広島相手に6回1失点(6月21日、横浜)、続く阪神戦でも6回2安打1失点に抑えて1勝目をつかんだ(28日、横浜)。さらに神宮球場での
ヤクルト戦(7月5日)では自己最長の7回を3安打無失点の快投を披露し、
ラミレス監督を「アンビリーバブルだ。投げるたびに良くなっている」とうならせた。かねて横浜スタジアムでの登板成績が良いことから、ラミレス監督は東京五輪を戦う日本代表・
稲葉篤紀監督に推薦してきたが、今季は球場や相性だけではない実力を証明し続けている。
2016年オフ、
巨人にフリーエージェント移籍した
山口俊(現ブルージェイズ)の人的補償として
DeNAに来た。左腕王国で奮闘する右腕が、上位進出へのキーマンとなりそうだ。
写真=早浪章弘