目指すは勝ちパターンでの登板だ
8月4日、
ソフトバンク戦(
楽天生命パーク)。ドラフト3位・
津留崎大成がプロ入り後11試合目の登板でプロ初勝利を飾った。ここまで主にビハインドの場面での登板が続いていた右腕は、記念球を受け取ると「僕だけの力ではない。先輩方が逆転してくださったおかげです」と笑顔で振り返った。
2点を追う8回から登板すると、先頭の
バレンティンをカットボールで空振り三振。甲斐にはフルカウントから四球を与えたが、続く周東は二ゴロ。最後は今宮を2球で追い込むと、カットボールで空振り三振に仕留めた。
テークバックは小さく、コンパクトな投球フォームから最速153キロの直球を投げ込む。縦に揺れ落ちるカーブも武器だ。独特なフォームはヤンキースのゲリット・
コールらの複数の投手の映像を参考にしたという。メジャー流の投球フォームは、地道な研究と筋トレによって完成した。
慶應義塾高3年時、右ヒジじん帯を断裂し、秋にトミー・ジョン手術を受けた。リハビリ中、
ダルビッシュ有の影響で筋トレに目覚めたという。慶大時代には「登板前日でも普通に筋トレしていました」と、週に6度も筋トレで鍛え抜いた。大学1年時89センチだった胸囲は109センチまでサイズアップし、球速は9キロも速くなった。「体が小さいので、人よりも大きなエンジンを積みたかった」と胸を張る。
伊藤智仁一軍投手チーフコーチがキャンプ中から「面白い存在。ステップアップして、いずれは勝ちパターンで投げてほしい」と期待していた逸材。まだまだ手痛い失投もあるが、研さんを続けて首脳陣の信頼を積み重ねていく。
写真=BBM