
自身4度目となる盗塁王のタイトルも狙う西川
西川遥輝のストロングポイントは間違いなく、そのスピードだ。目に見える数字として残る盗塁は今季1つの節目に到達した。本拠地の札幌ドームで有観客解禁初戦となった7月14日の
ロッテ戦。1点を追う初回、中前打で出塁するとすかさず二盗に成功。史上46人目の通算250盗塁を達成した。「ファンの前で走ってる姿を見せられたのは、良かったです」。試合には敗れたため、笑顔は少なく喜びも控えめだった。
チームのキャプテンは妥協を許さない。試合に勝ちたいから走る。勝利した9月3日の
楽天戦(札幌ドーム)では4点リードの8回二死無走者から左前打で出塁後に二盗。得点にはつながらなかったが、攻める姿勢を貫いた。「昨日のことがあるので1点でもというのが僕の中での気持ち」。前日の試合で9回に3点差をひっくり返されて痛恨の逆転負け。同じことを繰り返さないよう、チームを鼓舞する走りだった。
250盗塁達成時点での通算盗塁成功率は史上最高の.863。250盗塁以上で成功率8割超えは、西川を筆頭に5人しかいない。スピードを生かせればチームの勢いとなるが、その逆は試合の流れをも変えてしまうことを西川は知る。「1つひとつの積み重ねを大事にしていきたい」という言葉には重みがある。走るべきタイミングを間違えないからこそ、西川の足は価値が高い。
そのスピードはセンターの守備でも生かされ、守備範囲の広さは球界随一だ。栗山監督も「遥輝の守備範囲で拾えているボール(打球)がどれだけあるかってこと」と守りでもチームを救っていると評する。チームの上位浮上には西川が勝利のためにグラウンドを走り回る姿が不可欠だ。
写真=BBM