
10月20日の中日戦(ナゴヤドーム)は5回3失点で2ケタ勝利ならず。残りの登板で10勝目を目指す
「今のうちで一番安定している」と
ラミレス監督が評すのも当然だろう。
大貫晋一は2年目で先発陣の柱に急成長を遂げた。10月13日の
ヤクルト戦(神宮)も6回1失点と好投し、自己最多の勝ち星を9まで伸ばした。初の2ケタ勝利に王手を掛けた。
今季のスタートは、むしろ悪かった。オフに豪州リーグに参戦した影響を考慮されて二軍キャンプで調整したが、調子が上がらず、2年連続の開幕先発ローテ入りを逃した。7月2日の初登板は4回2失点で黒星。さらに同10日の
阪神戦(甲子園)は1回KOの屈辱を味わった。二軍降格も考えられたが、首脳陣は「持ち味を出せていない」と中3日で中日戦先発のチャンスを与える。ナゴヤドームの広さ、マウンドの傾斜の大きさが、大貫のツーシームを主体とした投球スタイルに合うという親心からだった。
結果は、プロ入り後最長の8回2失点の好投だった。さらに翌週のヤクルト戦(横浜)でも7回二死まで無安打投球を演じた。9月1日の
広島戦(マツダ広島)でプロ初完投するまで破竹の6連勝を飾り、
今永昇太らが故障で離脱した先発投手陣を引っ張った。
覚醒の理由は、小さなフォーム変更にある。1回KOの後、
木塚敦志コーチの助言を受けてグラブから始動するようになった。
巨人・
菅野智之のように大きくひねる訳ではないが、先に上半身を動かすことで、左足を上げる時のブレが軽減。下半身が正しい動作で安定し、制球面への不安は自信へと変わった。9月末からは新球チェンジアップを解禁して再び3連勝。2ケタ勝利への意欲は「チームのために勝ちが増えたらいい」とかわすが、準備は整っている。
写真=松村真行