2年連続で最下位に沈んだチームだが、光はある。
プロ4年目、22歳の山本由伸の今季年俸は推定9000万円。今季は18試合に先発し、自己最多タイの8勝(4敗)を挙げた。奪三振数149はリーグトップで、防御率2.20はリーグ2位の好成績。シーズンを通して、大きな離脱もなかったため、大台の1億超えが確実視されている。
純粋な心が自然と体を突き動かす。山本は若くして球界を代表する投手にもなった。常時150キロを超える直球に、切れ味鋭い変化球で打者をなぎ倒す。ただ「最初は投手ではなかったですし。中学生のときに、たまにピッチャーすることがあったんですけど、ボールとか全然速いほうじゃなくて……」と振り返る。
好きなことにのめり込んだ結果、プロ野球の世界に飛び込み、最前線で活躍する投手になった。
「本当に(中学までは)普通レベルというか。同級生と同じくらいのレベルだったので、僕も速いボールを投げたくていっぱい練習していました。やっぱり速い球を投げたいとか、遠くに飛ばしたいとか、野球がうまくなりたいという気持ちを持っているだけで、野球のことを考える回数がどんどん増えていく」
野球を思う心が、山本のボールを強くする。だから、日ごろは冷静な右腕も、マウンドでは喜怒哀楽が出る。
「とにかく野球を楽しむ気持ちと、上手になりたいという気持ちが強ければ強いほどうまくなれると思う。それは、当たり前のように感じて皆、忘れがちなことだと思うので、そういう気持ちを大切にしたいと思います」
12月初旬に行われる、契約更改交渉の場で、山本の納得した表情が見られるか。グラウンドを離れた充実のシーズンオフにも注目が集まる。
写真=BBM