
今季、ベイスターズの先発を支えた大貫
軒並み苦しんだ先発陣の希望的存在だった。打が
佐野恵太なら、投のMVPは間違いなく
大貫晋一だろう。「来年は今年以上に安定した投球ができるだろう」。今季限りでチームを去った
ラミレス監督が確信する成長ぶり。プロ2年目の右腕は、コツコツと実績と信頼を積み重ねた。
「すべての数字で今年以上の成績を残すことができれば」と決意したのが昨年の契約交渉。1330万円増の年俸2530万円でサインした。当時はウインター・リーグで滞在していたオーストラリアからインターネット電話「スカイプ」による会見。「シーズンを通していい結果を残したい」と有言実行のシーズンを送った。
開幕先発ローテから漏れたものの、7月2日の
巨人戦(東京ドーム)で初昇格。自身2連敗から6連勝と巻き返し、9月5日の
広島戦(マツダ広島)でプロ初完投を成し遂げた。二軍降格は一度もなし。ルーキーイヤーの6勝(5敗)から10勝(6敗)とジンクスを吹き飛ばした。開幕投手の
今永昇太や
平良拳太郎が離脱。
濱口遥大が6勝、同期入団の
上茶谷大河も2勝と伸び悩んだ苦境で、唯一の2ケタ勝利だった。
チームは4位。新型コロナウイルスによる観客の人数制限など、球団経営への影響は小さくはないが、トップクラスの評価を受ける1人だ。最近では今永が1年目の8勝9敗から11勝7敗と似たような成績で飛躍。年俸1500万円→4000万円→8400万円と大幅昇給を勝ち取っている。
今季最終登板だった11月11日の
阪神戦(甲子園)は7回無失点で締めくくり。1回3失点でKOされた7月10日の登板を忘れることなく「やり返したい気持ちが強かった」と精神面も充実一途だ。三浦新監督の下、再出発の思いは同じ。背番号16の前途は明るい。
写真=川口洋邦