
就任初年度は断トツの最下位に終わったが、光も見えている
決して満足のいくシーズンではなかったはずだ。投打に課題が残り、2年連続の最下位。
高津臣吾監督は11月末のオーナー報告で「順位を上げることが全てだと思います」と逆襲を誓った。
一にも二にも取り組むべきは、投手陣の整備だ。チーム防御率4.61は12球団ワースト。特に先発陣は、1年間ローテーションを守ったのが10勝を挙げた
小川泰弘のみで、新助っ人の
イノーアと
クックはともに未勝利に終わるなど誤算も続いた。
一方、打撃は20歳の
村上宗隆が、球団日本人選手初の全試合に四番で出場するなど奮闘。だが、夏場に
山田哲人が故障で抹消されるなどベストな状態の戦力が整わず、チーム打率.242はリーグワーストで468得点は同5位と低迷した。
来季、指揮官が求めるのは「緻密さ」だ。「打つ、走る、守る、投げるだけじゃない。もっと奥深い、細かなことを要求していきたい。もっと成長して、いろいろなことができる集団にしたい」と口にする。
成績だけ見れば厳しい数字が並ぶが、投打に若手が台頭。育成コーチを新設し、投手部門はファームのコーチを4人体制にするなど育成にも力を入れる。細部までこだわる“高津野球”が浸透すれば、強力な集団に生まれ変わるだけの逸材はそろう。そして「ムネ(村上)のしっかりとした四番打者としての成績と、奥川(
奥川恭伸)をプロ野球の選手にしてあげるというのは大きな目標の一つです」と球団の近い未来も見据えている。
来季のチームスローガンは『真価・進化・心火』。「お客さんが喜べる野球をしないといけないと改めて思いました」と高津監督。ファンに最高のプレーと勝利を届けるために――。2021年の戦いに、注目だ。
写真=川口洋邦