3年ぶりの先発復帰へ、闘志を燃やす男がいる。今季プロ11年目の中村恭平だ。昨年12月に
佐々岡真司監督へ先発再転向を直訴。「長いイニングを投げたかった。挑戦できるならできるだけ早く」と既に12月から先発へ向けた準備を始めており、段階を踏んだ自主トレを行っている。
プロ入りから18年までは主に先発を務め、24試合に先発登板。しかし先発勝利はわずか2勝にとどまった。本格的に中継ぎに転向した2019年には、150キロ台中盤の直球を武器に43試合に登板し、12ホールドとブレークした。
しかし昨季は2月の春季キャンプ中に故障で離脱した影響で、登板数は14試合に減らした。しかし要所で力を示し、防御率0.96と奮闘。ここ2年で手応えをつかんだという左腕は「一昨年は良くて、去年も悪いなりに抑えられたときもあった。先発に生かしていけるんじゃないかと」。中継ぎで得た知識と経験を、今度は先発につなげる。
新球種にも挑戦中だ。これまで中継ぎでは直球とスライダーを主武器にしてきた。昨季はフォークが良くなかったことから、落ち球をチェンジアップに変更。加えて緩急をつけるために、カーブも習得を目指している。「まずは腕を振って、打者に『この球種もあるんだ』と認識してもらえれば」。キャッチボールでほかにも何種類かの変化球を投げ、手応えを感じたものを身につけようとしている。
18年以来の先発挑戦なだけに、より一層のアピールが必須だ。「ほかの先発よりも、頭1個抜けたくらいの良さを見せていかないとプラスにはならない」。今年32歳を迎え、中堅組に差し掛かる。尽きないチャレンジ精神を胸に、前へ突き進む。
写真=BBM