
自慢の俊足でチームの勝利に貢献したい
明らかに風向きが変わってきた。それを感じている1人が
宮本秀明だろう。「もう、必死です」とは素直な気持ち。
ラミレス前監督から
三浦大輔監督へ交代し、ビッグチャンスがめぐってきた。一昨年40、昨年も31と、チーム盗塁数は2年連続で12球団最少。「1点を取りにいく。得点力を上げる」と新指揮官が目を向けたのが機動力だった。初の対外試合となった2月13日の
中日戦(北谷)では3度連続で二盗失敗。先頭を切ったのが宮本だった。
社会人・パナソニックから2018年にドラフト7位で入団。1年目こそ21試合に出場したが、ここ2年は1、6試合と低迷が続いた。内外野を守れるユーティリティだけでは生き残れないプロの世界。50メートル5.8秒の「足」にすべてをかけた。「1点がほしい場面で、代走が一枚いないのが現状。まずはその一枚になれるように頑張りたい」。昨季はイースタン・リーグでチームトップの15盗塁。三浦二軍監督は積極性を好み、企図数105、65盗塁はともに同リーグ最多だった。
2月17日の
ヤクルト戦(浦添)では特別ルールを活用し、代走で3度起用された。さらに21日の
ロッテ戦(宜野湾)でも代走で途中出場。8回一死から左前打を放った直後に能力を発揮した。相手の暴投によって一気に三塁へ。続く遊ゴロの間に貴重なホームを踏んだ。
新型コロナウイルス感染拡大の影響でソト、
オースティンの助っ人コンビが来日できておらず、長打力だけに頼らないスモール・ベースボールは必須。練習の舞台とはいえ、理想的な得点だった。かつての
ソフトバンク・
周東佑京や
巨人・
増田大輝ら、強いチームには欠かすことのできない「切り札」の存在。輝きを放つ場所は、きっとある。
写真=BBM