
球場が騒然となった千賀のアクシデント。やはり重傷だった……
両チームのファンが凍り付いた。4月6日、札幌ドームでの
日本ハム戦。両ふくらはぎの不調で出遅れた
千賀滉大は今季初登板で先発マウンドに上がっていた。無失点のまま迎えた6回、
渡邉諒の投手強襲ライナーを捕球した際に左足首をひねって転倒。自力では歩けず担架で運ばれ、そのまま降板し病院送りとなった。
スロー映像では左足首が外側、明らかに可動域を超えて曲がってしまった様子が見て取れた。診断結果は捻挫。出場選手登録抹消となった翌7日、
工藤公康監督は「折れていたりすると(復帰まで)長くなってしまうけど、捻挫という診断なので」と不幸中の幸いに胸をなで下ろしたが、それも束の間、9日の再診でじん帯損傷が判明。全治は2~3カ月、前半戦が絶望視される状況になった。
東浜巨も右肩不調で出遅れ、実戦復帰した二軍戦で左足首に打球を受け緊急降板したばかり(大事には至らず、すでに二軍戦に登板)。先発ローテの計算は、また振り出しに戻った。
巨人・
菅野智之や
オリックス・
山本由伸と並ぶ国内屈指の投手として、稲葉ジャパンの先発の柱にも数えられる存在。このワンプレーで、東京五輪出場も厳しくなった。個人としても2022年に見込まれていた海外FA権取得に影を落とす出来事。ギプスをはめ、松葉づえの姿が痛々しい。
「誰かさんがいなくなりましたからね。しょうがないですけど」。工藤監督もローテ再々編に苦笑いだった。もはやチームへの影響云々を語るまでもない。誰もが耐える時期を自覚し、沈むことなく夏場までたどり着いて千賀を待つ――。そんな道中を思い描いて一つになった。
写真=榎本郁也