声出し番長が、ベンチに戻ってくるはずだ。大下誠一郎が後半戦こそ一軍戦力になる。前半戦は5試合の出場にとどまり、11打数1安打の打率.091に終わった。
東京五輪中断期間も大阪・舞洲の球団施設で汗を流す日々。室内練習場でマシン打撃を繰り返し「前半戦、全然ダメだったので……」と言葉を並べた。
2019年秋の育成ドラフト6位で入団。練習熱心で毎日、日が暮れるまでバットを振り続けるムードメーカーは、昨年9月14日に支配下選手登録されると、翌15日の
楽天戦(ほっと神戸)で、育成出身者として史上初となるプロ初打席初本塁打を放ってド派手なデビューを飾った。
懸命にベンチを盛り上げる。声を張り上げる影響から、試合後には喉が枯れる。「自分を評価してくださって、素直にうれしかった。(育成で入団して)毎日苦しかったですけど、這い上がってやろうと。今までやってきたことは間違いではなかった」。中嶋監督からアメを手渡され「これ、食えよ」とノドのケアを促されるほどだ。
チームは前半戦首位ターン。1996年以来、25年ぶりの優勝も狙える位置にいる。
「一軍に食らいついて、ブレずにやっていきたい。ベンチで盛り上げたい気持ちは強いです。うまさはいらない。自分はガムシャラに泥臭くやっていきたいです」
ムードを盛り立て、雰囲気をつくる。「全力プレーと根性を見せていきたい。(後半戦は)ずっと一軍にいること。試合に出て、貢献して、優勝できるようにしたい」。
心の叫びを、グラウンドに轟かす。
写真=BBM