
9月4日の巨人戦(甲子園)でサヨナラ2ランを放った大山
チームを救う一撃だった。9月4日の巨人戦(甲子園)。
阪神が1点ビハインドで迎えた9回、無死一塁で打席に立った六番・
大山悠輔は
ビエイラの内角に切れ込む156キロ直球を強振した。打球は左翼席に飛び込むサヨナラ2ラン。「死ぬ気で打ちにいった」ひと振りで、チームは8月28日以来、7日ぶりに首位に浮上。大山は前夜の同カードに続く、2戦連続のお立ち台だった。
だが、大山の真価を問われるのはこれからだ。後半戦スタートになった8月13日の
広島戦(京セラドーム)で特大11号ソロ。「四番」としては6月12日の
楽天戦以来、約2カ月ぶりの感触だった。翌13日の同カードでも12、13号を浴びせるなど四番・主軸の働きを見せた。多くの打点を稼ぐことを目標に置く本人にとって思い描いた活躍だった。
今季は背中の張りに不調もあって、月別でも5月は1本もホームランがなく、打順も「七番」に降格されて臨んだこともあった。チーム内には
サンズ、マルテ、
佐藤輝明ら四番候補はいる。しかし大山を主軸として勝負強い打者に育てるのはチームづくりの命題だろう。東京五輪の中断期間には自身のフォームチェックに集中することができた。「自分のやりたいこと、やるべきことにしっかり取り組めた」と満足気だった。
そのエキシビションマッチで打率.361と納得のいく数字を残したことで、
矢野燿大監督も変化を認めていた。「打てるポイントが広くなって、ボールを長く見ることができるようになって、角度もつけられるようになってきた」。後半戦の出足が良かった大山悠輔がどこまで数字を上げるかは優勝争いを抜け出すポイントだと思われたが、その後不振に陥る。8月17日の
DeNA戦(東京ドーム)から27日の広島戦(マツダ広島)まで39打数5安打、打率.128。28日の広島戦ではスタメンを外れ、復帰後は六、七番を打つようになったが、首位攻防戦で放った劇打を上昇のきっかけにしたい。
「調子が良いときはいいでそれを続けていきたいし、常に反省しながら打席に集中していきたいと思っています」
大山のバットが阪神の16年ぶり優勝の行方を左右するのは間違いない。
写真=BBM