
シーズン終盤の感覚を来季につなげたい
変化は明らかだった。今季は56試合で打率.220、3本塁打、14打点。残った成績に満足できなくても、
戸柱恭孝には確かな手応えがあった。9月3日に3度目の出場選手登録。シーズン終了まで完走し、課題だった打撃に開眼の気配を感じさせた。
9月は11試合で打率.286。10月も14試合と出場を増やし、打率.275をマークした。再昇格前の打率が.153と低調。9月29日の
ヤクルト戦(神宮)から10月8日の
中日戦(横浜)まで7試合連続、11本の安打を集中させる量産期もあった。
「速い真っすぐをファウルにしてしまう打席が多くなって、試行錯誤しながらたどり着きました。脱力して(バットの)ヘッドを走らせる意識でやっています」
124試合に出場し、新人だった2016年の打率.226がキャリア最高。やがて正捕手の座も失い、長いファーム生活の中で真剣に現実と向き合った。「悔いのないように、やれることをしっかりやろう」。東京五輪による中断期間で、力みをなくす新フォームを導入。「力はあるんだから、もっと飛距離が出る」と背中を押してくれたのは、
仁志敏久ファーム監督だった。
チームではベテランの域に入る31歳。「とにかく足を動かす」とノックやラダートレーニングで鍛え上げ、若手に交じって早出や特打にも取り組んできた。「(内野の)間を抜くような強くて低いゴロを打てばヒットになる」とイメージは来季にもつなげ、
三浦大輔監督に与えられる役割は主に七、八番。背番号10の巻き返しはすでに始まっている。
写真=大賀章好