右肘内側側副靱帯の再建手術(通称トミー・ジョン手術)からの復帰イヤーとなった田島慎二。初めてリードした場面での登板は8月18日の
広島戦(バンテリン)。2対0の6回、二死満塁でマウンドに上がった。打席は東京五輪金メダリストで、日本の主砲・
鈴木誠也。内角に食い込む148キロで三ゴロに打ち取った。
軌道は真っすぐともシュートとも表現できる。「あんまりはっきり言いたくないんですけど、はっきりした真っすぐでも、シュートでもありません」。右のサイドスローならではの軌道。2ボールから外角スライダーで空振りをとった後の4球目。ズバッと内角に投げ込んだ。
先発・松葉に白星をつけた4球のマウンド。田島にとっては術後、初の本拠地登板。ホールドは2019年5月25日の
ヤクルト戦(神宮)以来、2年3カ月ぶりだった。今季22試合登板で、2勝1敗8ホールド、防御率は2.45だった。通算407試合登板で国内FA権利を取得した。
プロ10年目が終わった。入団したときは真っすぐとスライダー、スプリットの3種類。「打者と何度も対戦するので、同じスタイルだと討ち取れません。その時々で、ちょっとずつ変わってきています」と言う。
その一つがシュート。縫い目のかけ方を変えれば変化も変わる。高めへのカットボールに挑戦したこともあった。その日の自分の調子を理解し、相手打者の状態を把握し抑える。腹の探り合いは来季も続く。
写真=BBM