チーム本塁打リーグワースト69本のチームにあって最多はビシエドの17本。もちろん本人も「納得はしていない」。今季は交流戦で首位打者にこそ輝いたが、長打を求められる四番としては悔しいシーズンになった。
外国人選手はシーズン終了とともにすぐに帰国するケースが大半だが、ビシエドは違った。立浪新体制で迎えた秋季キャンプ中の11月15日。ナゴヤ球場屋内練習場にその姿があった。手にはバット。少し遅れて立浪監督が訪れるとまずは打撃談義。そして直接指導が始まった。
「来年これでいこうという話がしたかったので来てもらった。本人も今年悪かったので何か変えないといけないと言っていた。実績のあるバッターですけど、解説で見ていてもったいないと感じていた」
体が投手方向に突っ込むクセを修正するのが目的。指揮官は「ゆったりボールを呼び込むようになれば30~40本は打てる」と意図を説明する。身ぶり手ぶりのアドバイスが続き締めのロングティーでは最後の8スイング目に強烈な打球がネットに直撃。立浪監督が「パーフェクト」と声を掛け、40分間の指導が終わった。
ビシエドは「特別に時間をとってもらって良くなるようにアドバイスをもらえた。とても良い時間が過ごせた。自分が忘れていることを思い出させてくれた。タイミングが大事。ゆっくり大きく取ることを再確認できた」と手応えを口にした。
わずかな変化が大きな結果の違いを生むプロの世界。主砲の変化が今から楽しみだ。
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