
俊足、強肩を生かした広い遊撃の守備範囲が森の武器の一つ。来季レギュラー奪取を狙う
一本立ちへ、勝負の3年目を迎える。ドラフト1位入団のホープ、
森敬斗のプロ2年目は44試合出場と
三浦大輔新監督の下で出番を大きく増やしたものの、シーズン終盤は代走起用が目立った。8月24日の
阪神戦(京セラドーム)では「一番・遊撃」で出て第1打席で安打するなど、将来的な球団構想への期待を持たせたが、シーズン成績では打率.194で本塁打なし。打数の3割近い30三振を喫するなど、レギュラー奪取には一段の飛躍が欠かせない状況にある。
ただ、ブレークへの準備は整っている。
石井琢朗氏が野手総合コーチとして14年ぶりに復帰。黄金期を支えた名遊撃手に、さっそく秋季練習から守備の捕球のステップなど指南を受け、手応えを示している。
遊撃のポジションは、球界で若手の台頭が際立つ。1学年上に当たる
広島の
小園海斗がレギュラーを奪取し、規定打席に達した上で3割目前の打率を残した。パ・リーグを制した
オリックスの正遊撃手で、日本シリーズでも活躍した
紅林弘太郎は同期だ。遊撃以外でも
奥川恭伸(
ヤクルト)や
佐々木朗希(
ロッテ)と同じ高卒2年目がチームの主力に育っており、森は追う立場にある。
現役引退後、指導者として広島、ヤクルト、
巨人とセ・リーグ他球団を渡り歩いてきた石井コーチは「優勝してもおかしくないチーム力は持っている」と言う。昨季まで2年連続で最下位だったヤクルトが日本シリーズを制したように、プロ野球は群雄割拠の時期に入った。最下位からの巻き返しへ、チームの伸びしろは森の成長にかかっている。
写真=大賀章好