
春季キャンプでも投手陣の先頭に立つ
はっきりと口にした。
今永昇太の意思表示だった。「そのマウンドに立つイメージをしながら、毎日を過ごしている。開幕投手は12人しかいないので。チーム全員から『今永しかいない』と思われるような振る舞いをしたい」。2年ぶり3度目の大役。相当な自信がありそうだ。
ヤクルト・
寺島成輝らと合同で行った自主トレは長崎の天草から高知と行脚。「他を圧倒するような投球をして(圧倒的な)成績を残す。そういう年にしないと」と気合十分だ。
「ものすごく悩んで、決断しました」と言ったのは一昨年10月のこと。左肩のクリーニング手術によって、長期離脱を経験した。一軍復帰は昨年5月。イニング、球数を少しずつ増やし、9月19日の
中日戦(横浜)では2年ぶりの完投勝利を記録した。「何事にも代えがたい充実感というか、疲れもぶっ飛ぶような心地よさがある」。勝ち星は前年と同じでも、まったく意味合いの異なる5勝。
大貫晋一(21先発)に次ぐチーム2位の19先発で、120投球回、110奪三振は最多だった。
2019年に初めてオープニングゲームを任された。中日を相手に8回無失点で初勝利。「今までは自分のことばかり考えていた。チームのために精いっぱい頑張りたい」と明らかに意識も変わった。2年連続で務めた翌20年は5回2失点で黒星。過去の成績は1勝1敗だ。自己主張するだけでなく「他に素晴らしい投手がいることも認識しながら」と大貫らライバルへの敬意も忘れなかった背番号21。誰もが期待する完全復活とともに、まっすぐに突き進む。
写真=井田新輔