精神面での充実を目指す
神懸かっていた打棒を維持することはできなかった。2022年シーズン。序盤は代打の切り札として活躍した
銀次だったが、終わってみれば満足できる数字は残せなかった。83試合に出場し打率.261、26打点という成績に終わった。
代打での打率は.444。自慢のミート力を生かし、抜群の数字を残した。だが、好事魔多し。7月に新型コロナウイルスに感染して戦線を離脱。8月に復帰を果たすも、その後は調子を取り戻せないままシーズンを終えた。「前半はいい感じでバットを振れていたし、いいところで打てていたんですけど、後半に(調子が)落ちてきて気持ちの面で弱かったところがあった」と悔しさをにじませた。
20代のときから、すでに30代後半を見据えた体力づくりをしてきた。筋トレのメニューにも工夫をこらしてきただけに、体力面は何の不安もない。敵は意外なところに潜んでいた。昨季、本人の行く手を阻んだのは精神面。今オフは、その反省も生かすべく、自主トレに望んでいる。
メンタルも鍛えようというバットマンに、五輪メダリストから金言が授けられた。1月、沖縄県内での自主トレ中に五輪女子レスリング3大会連続金メダリストの吉田沙保里さんが訪問。吉田さんが常に口にするという「笑顔で楽しむこと」という言葉に元気をもらった。
「もう一度優勝したいし若い選手に優勝ってこういうものだと伝えたい。それ以上に東北のためにも、絶対に優勝して喜ばせたい」。すべては東北のファンに笑顔を届けるために。銀次は笑顔で安打を量産する。
写真=BBM