
プレーと言葉でナインを引っ張る
今季は球団として12年ぶりに主将を置かずにペナントレースを戦っている
楽天。その中で、持ち前の明るい性格でチームを引っ張っているのが
鈴木大地だ。
試合中はベンチで人一倍声を出し、盛り上げ役も買って出る。普段の練習でも、何げない場面でキャプテンシーを発揮している。例えば4月6日の
西武戦(楽天生命パーク)の試合前練習。自らの打撃練習を終えると、打撃ケージ横でノックをしていた
奈良原浩一軍内野守備走塁コーチのもとへ駆け寄った。
あふれ出る汗をぬぐうと、左手に内野手用のミットをはめた。三遊間でノックを受けていた渡辺佳、村林からの送球を捕球するためだった。ほんの数分間のことだったが、両内野手は笑顔で感謝の言葉を口にした。
開幕直後は打撃不振にあえいだが、4月5日の西武戦(楽天生命パーク)では、初回二死満塁で右越えに先制2点二塁打を放つなど、3安打3打点。今季初の猛打賞の大暴れで、バットでもチームを引っ張った。
首脳陣からの信頼も厚い。
石井一久GM兼任監督は「大地はどんな状況に置かれても、しっかり声を出してやってくれている。チーム全体のお手本になる」と精神面でも頼りにする。
チームは4月5日までに9選手を含む10人が新型コロナウイルスに感染。則本、茂木ら主力が離脱した影響は少なくないが、5、6日の西武戦は連勝した。「なった選手の思いを考えるとやり切れない。いない人の分まで頑張ろうという思いがある」と鈴木大。チームの窮地だからこそ、その存在感が際立っている。
写真=BBM