
球界No.1投手・山本から衝撃の逆転満塁弾を放った柳田
3万3000人以上が入ったスタンドを、ひと振りで揺らした。5月3日の
オリックス戦(PayPayドーム)。同点で迎えた6回一死満塁で、
柳田悠岐が
山本由伸の153キロの直球を完璧にとらえた。打った瞬間にそれと分かる打球が左中間方向へ飛び出すと、豪快なフォロースルーを保ちながら“確信歩き”。直後、自軍ベンチに拳を振り上げながら雄たけびを上げた。打球が左中間テラス席へ飛び込むと、マウンドで両手をヒザについてうなだれる山本を尻目にダイヤモンドを一周。ベンチ前でヘルメットを脱ぐと、両手を上げたガッツポーズで鳴りやまないスタンドからの大歓声に応えてみせた。
チームの連敗を「4」で止めたグランドスラムは、さすがのひと言だ。相手はそこまで22試合連続クオリティースタート(6投球回以上で自責3以下)中だった球界屈指の右腕。「とにかく前に飛ばそうと、それだけ」。3球で追い込まれながら、仕留めに来る直球とフォークに対して粘ると、それまでよりやや甘く入った外寄り直球を完璧にとらえた。「いい投手だし当てることで精いっぱいだった」。そう謙遜したが、山本からの一発であらためてその打撃技術の高さを示した。
4月末から試合前のフリー打撃ではマスクを着用している。
村上隆行打撃コーチは「顎が擦れて出血しちゃうからその予防のため。右肩に(顎が)引っ付くくらいに顔を残している。豪快なスイングにばかり目がいくだろうけど、ボールを近くまで呼んできて打っている証しだよ」と説明。フルスイングのギータ弾には、プロの技が詰まっている。
写真=湯浅芳昭