
巧みに内角を振り抜き逆転弾とした山川
「さすが四番打者」
そう思わせる一発だった。5月3日の
ロッテ戦(ベルーナ)、3回に1点を先制されて迎えたその裏、一死一塁で打席に立った
山川穂高は、フルカウントからの
小島和哉の内角直球を、巧みに腕をたたんで仕留め、レフトスタンドのポール際へと運んでみせた。チームを勝利に導いた技ありの逆転本塁打に、
辻発彦監督も「難しい球だった。大したもの」と惜しみなくたたえた。
一方で、当の山川本人は「たまたまですね」とドライな口調。だが、やはりその胸の内では、己の今季の取り組みに対する自信をより一層深めていた。「全部反応。反応は狙えないので、今日(3日)のホームランは狙ってではできない。バッティング練習でもなかなかできない打ち方。そういう反応をしてくれた今日の僕に感謝です」と目を輝かせていた。
意識せずとも自然と体が動いた、その“反応”を出すために「今年は、打席の中よりも、打席に入る前の“準備”をメチャクチャ大事にしています」と山川。相手投手の分析も、ケアやウォーミングアップ、打撃練習などの自身のコンディション調整も、すべて打席に立ったときには最高の“反応”ができるための準備が整えられているのである。
5月8日の
日本ハム戦(同)では13、14号を放ち、本塁打を放った試合は全勝という「不敗神話」を11に伸ばした。小学校からプロまで、すべてのカテゴリーで四番を託され、自分が打てずに負けると「四番のせい」と言われ続けてきた。だが、今は違う。「山川がホームランを打てば負けない」。チームの勝利を背負い、今日も最高の準備をして打席に向かう。
写真=BBM