
古巣復帰した藤田は主に代打でチームの勝利に貢献する
大歓声が背中を押してくれた。10年ぶりに
DeNAへ復帰した
藤田一也にとって、特別な思いが詰まった横浜スタジアム。4月15日の
ヤクルト戦だった。1点を追う8回無死で、相手は2年連続最優秀中継ぎ右腕の
清水昇。代打で集中力を高め、初球から4球続けてきたフォークを逃さなかった。今季3打席目で左前へ初安打。気持ちはすぐに切り替え「次は勝ちにつなげられるヒットを打ちたい」と有言実行を目指した。
2月のキャンプ中に左ふくらはぎの張りを訴え、別メニューで調整。4月12日に初めて出場選手登録されていた。「とにかく結果で応えたい気持ちでした」と声を弾ませたのは初安打から3日後のこと。19日の
阪神戦(横浜)も代打だった。2点を追う4回二死三塁で、エース格の
西勇輝から同点打を放った。初安打に続き、初打点も本拠地で記録。4年ぶりの白星を手にした救援左腕・
田中健二朗とお立ち台に招かれ「感謝の気持ちをグラウンドで伝えていけるように頑張っていきたい」とファンへ伝えた。
2005年の入団から横浜ひと筋でプレーし、DeNA創設初年度だった12年の途中にトレードで
楽天へ移籍。人望の厚さを表すように、多くの仲間が涙の別れを交わした。「ベイスターズ愛は今も変わらず、これからも愛を持って戦いたい」。昨年12月の復帰会見で心に誓い、ここまで29試合のうち代打で28試合に出場。30打数8安打の打率.267と、ひと振り稼業で成果を上げてきた。7月3日に節目の40歳を迎えるチーム最年長。渋く、味のある働きが頼もしい。
写真=桜井ひとし