
高松 渡
得点力がカギになるチームにおいて、その存在感が増している。「なかなか点が取れるチームではないのでね。いけるときはいかせます」。膠着したゲームを積極的に動かしにいく
立浪和義監督の代走の切り札として機能している。
6月21日の
ヤクルト戦(バンテリン)。1点を追う8回だった。ここまで
小川泰弘の前にわずか1安打、二塁すら踏めない展開で完璧に封じられていた。
先頭の
阿部寿樹が四球で出塁すると、すかさず代走に高松を送った。続く
木下拓哉がライト前に落とすと、高松は一気に三塁を陥れた。一、三塁となり、代打の
溝脇隼人は二塁への痛烈なゴロ。
このとき、一瞬ホームへのスタートを遅らせたことで、二塁の
山田哲人は併殺を狙いにいき、そこから高松は本塁へ突入。高松の脚力がなせる判断で、貴重な同点のホームを踏んだ。これがサヨナラ勝ちへの口火となった。
滝川二高出身の5年目。50メートル走5秒8の俊足が持ち味だ。昨季78試合に出場し、112打数28安打、打率.250、15盗塁と戦力として機能した。次打者の遊撃内野安打と悪送球の間に、一塁から一気に本塁を陥れてチームを勝利に導いたこともある。
今シーズン前には「15盗塁はよくできたと思うけど、盗塁死が9もあった。どれだけ高い確率で成功できるかが大事になってくるので、まずはそこを変えていきたいです」と話していた。
精度を上げるため、
荒木雅博コーチとの二人三脚が続く。今季も7月4日現在、成功5、失敗3。まだまだ未完成であり、物足りない。それでもそのスピードは今のチームに絶対的に欠かせない。今後も足のスペシャリストとしてチームを支えていく。
写真=BBM