
一軍ではわずか1勝だが防御率3.19と試合はつくっている
期待どおりの活躍だった。ドラフト1位左腕の
隅田知一郎はキャンプ時から直球、手持ちの6種の変化球すべての質の高さ、制球力に高評価を得ると、紅白戦、練習試合、オープン戦と順調に段階を重ね、「当然」と言わんばかりに開幕先発ローテーション入りを果たした。
とりわけデビュー戦では強烈なインパクトを残した。3月26日の
オリックス戦(ベルーナ)、開幕カード2試合目にマウンドに立つと、7回5奪三振、無失点。昨季リーグ制覇を果たした強力打線を相手に打たれたヒットはわずか1本のみで、二塁すら踏ませない圧巻の投球に、
辻発彦監督も「並の新人ではない」と脱帽だった。
その後は、クオリティースタート(6回以上、3自責点以内)もありながら援護点に恵まれない不運も多く、黒星が続いてしまう。疲労も重なり自身7敗目を喫した6月9日の登板を機に、一度、リフレッシュも兼ねてファームで調整することとなった。それでも、チームの先発3本柱と期待されていた
今井達也がケガで長期離脱、新外国人投手の
ディートリック・エンス、
バーチ・スミスがアクシデントで登板の可否が不安定だった中、「即戦力」の前評判どおりのポテンシャルを発揮し、開幕から11試合ローテを守り続けた貢献度はとてつもなく大きい。
7月15日に新型コロナ感染が判明したが、ファームでの成績は2試合、10回で8安打14奪三振、1失点、防御率0.90とまずまず。プロの世界で課題となった、本来の持ち味である制球力と粘り強さに磨きをかけ、一軍ローテを自らの手で奪い返したい。チームにとっても、3年ぶり王座奪還にドライチ左腕の存在はすでに必要不可欠だ。
写真=BBM