
打線のキーマンだ
8月7日の
ソフトバンク戦(PayPayドーム)。0対1で迎えた6回無死満塁の絶好機。
島内宏明が
和田毅の投じた外角スライダーを強振した。「急にバットをパンッと出した打ち方だった」と狙い球ではなかったが、打球はグングン伸びて左翼フェンスを直撃。2点適時二塁打を放つと、3安打2打点の活躍。同日の時点ではリーグ最多安打(109)に浮上した。
昨季は自身初のタイトルとなる打点王を獲得。モチベーションの一つとなっていたのが、石井GM兼任監督からのご褒美だったという。高級スニーカーをおねだりし、見事にゲットした。物欲が強いタイプではなかったはずだが、今年も燃えている。2年連続でタイトルを獲得した際の副賞として、指揮官に「契約年数を延ばしてくれますかね。高級スーツと」と要望した。
ただ現実は甘くはない。8月21日の時点で打率はリーグ5位、打点はリーグ3位。ともに1位からは大きく引き離されている。それでも夏場に34インチだったバットを半インチ短くすると、7月は21試合に出場して月間打率は.350、16打点。頼れる主軸が一気に調子を上げており、指揮官も笑顔を交えながら「まずいね。(高級スーツの)仕立屋さん、呼んでおかないとね」。早くもご褒美を覚悟するかのような口ぶりだった。
島内がここから2年連続で打点王に輝くことになれば、チームが一気に浮上することは間違いない。高級スーツは安くないかもしれないが、指揮官にとってはうれしい悲鳴になるだろう。
写真=BBM