
貴重な中継ぎ左腕の1人として腕を振るターリー
勝ちパターンに入ることもあるニック・ターリーは今季序盤、
ヤクルト主砲・
村上宗隆に打たれた一発に泣いた。5月14日、本拠地・マツダ
広島での一戦。1点リードの8回のマウンドに上がった左腕。だが、先頭の村上に1ボールから154キロの直球をバックスクリーンへ運ばれ、痛い同点弾を献上した。「もし、もう1回あの場面で彼と対戦することがあっても、同じ球を投げて抑えたい。今回は彼にうまく打たれた。あのような燃える展開で投げたいけど、抑えられずにガッカリしている。チームをガッカリさせてしまったので、次は勝利に貢献したい」。試合後、取材に応じて発したコメントからも悔しさがひしひしと伝わってきた。
再戦のときはすぐ訪れた。翌15日。5対5の延長12回、無死一塁で再び顔を合わせた。フルカウントから外角高めに153キロを投げ込み、空を切らせた。前日被弾した勝負球と同じ直球で奪三振。「変化球を織り交ぜながら空振りを取れた。昨日は打たれて悔しい思いをしたので、同じ打者と対戦できて良かった。真っすぐを昨日は打たれて、その悔しい気持ちを持ちながら、今日は真っすぐで空振りを取ることができて良かった」。わずか1日にして屈辱を晴らした。
もし15日も同じく打たれていたら、今のターリーの立ち位置も変わっていたかもしれない。160キロ近い直球を常に投げ込み、120キロ台の大きく割れるカーブを交える。左のセットアッパーにとって、あの一発が、そして、その翌日に奪った三振が、今季与えた影響は大きい。
写真=BBM