藤井のフォークを完璧にとらえ、左翼席へサヨナラ弾をたたき込んだ山川
最終盤の大事な時期にまさかの7連敗を喫し、気がつけば優勝はおろか、5位転落の危機に瀕していた
西武。その苦境をどうにか抜け出し、9月29日に3年ぶりのCS進出が決定した。この結果を「良し」とするか、直前までつかみかけていた優勝旗を手放した無念さを示すか。残り2試合、チームの真価が問われた。
迎えた10月1日、相手はマジック1で所沢に乗り込んできた首位・
ソフトバンク。引き分けでも優勝が決まる。西武にとっては2017年にも目の前で胴上げをされているだけに、是が非でも回避したかった。そのためには勝てばいい。意地が爆発した。
先発は
松本航と
千賀滉大。予想どおり、ロースコアで試合は進んだ。動いたのは4回。そこまで無安打だった西武は
源田壮亮、
森友哉が連続安打、
山川穂高が四球で一死満塁のチャンスをつくると、続く
栗山巧が中前に運び先制に成功した。しかし、千賀もそれ以上崩れずに7回1失点。一方の松本も自ら「今季ベストピッチ」と振り返るほどの好投で7回降板。その後、両者とも勝利パターンの継投で1対0のまま迎えた9回だった。
西武は守護神・
増田達至をマウンドに送るが、一死から四番・
柳田悠岐に同点弾を浴び、たちまちソフトバンクに優勝ムードが漂い始める。だが、その希望を打ち砕いたのはまた、西武の四番だった。11回二死一塁から山川が
藤井皓哉のフォークを完璧にとらえ、自身初のサヨナラ本塁打で胴上げを阻止した。
息詰まる投手戦と、チームを背負う両四番打者の勝負強さと実力。野球の面白さを存分に味わえたうえ、CSでの再戦にも楽しみがつながった、まさに至極の一戦となった。
写真=BBM