まさに、シンデレラストーリーのように、一気にスターダムを駆け上がっている。千葉・八千代松陰高から入団3年目の長岡秀樹が今季、正遊撃手の座をつかんだ。新型コロナウイルスに感染した影響で数試合は欠場したが、139試合に出場し打率.241、9本塁打、48打点。昨季までの2年間で11試合の出場だった若手が、29年ぶりのリーグ連覇に大きく貢献した。
9月25日。リーグ優勝を決め歓喜のビールかけが終わると、感謝の思いが口をついた。「本当に使ってもらったということが多いので、これからは自分の実力で僕しかないと思われるような選手になりたい。毎日打撃指導をしてくださった大松コーチや、悪いプレーをした次の日に向き合ってくれた森岡コーチらには感謝してもしきれません」。周囲の支えがあったからこそ飛躍できた。その思いは決して忘れない。
ただ、少ない好機をものにしたのは、長岡自身だ。今春のキャンプは当初二軍スタートだったが、
村上宗隆が新型コロナウイルスに感染した影響で一軍スタートに変更。オープン戦でも帯同を続けると、3月25日の
阪神戦(京セラドーム)で開幕スタメンの座を勝ち取り、シーズンを通してそのポジションを守ってきた。
「今でも守っていて正直怖いなと思うこともあります。まだまだ成長していかないといけない」。言葉どおり、発展途上。次なる目標は球団初の2年連続日本一達成。起用し続けてくれた
高津臣吾監督には「日本一になって恩返しがしたい」。謙虚に、感謝の思いを忘れず、突き進む。
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