渾身の「阿部ガッツ」が勝機を手繰り寄せた。4月27日の
日本ハム戦(東京ドーム)。同点の7回無死満塁で二番手として登板した阿部翔太が、気迫の6球を投じ、無失点で切り抜けた。
今川優馬を中飛、続く
石井一成を捕邪飛に仕留めると、最後は
近藤健介を中飛に打ち取り、ガッツポーズを決めた。
「社会人時代は、負けたら終わりの1試合ばかりでした。だから、今もその感覚はあります。僕の立場は1試合ですべてが決まるので」
2021年にドラフト6位で、日本生命からオリックス入団。入団時には28歳で、球団新人最年長となっていた。日本生命時代は、都市対抗4度、日本選手権にも4度出場。短期決戦の経験は豊富。1試合にかける思いをチームに響かせた。
ガッツあふれる右腕が、ブルペン陣のムードメーカーを務める。登板の度に存在感を増し、9月2~4日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)では野手が行う試合前の円陣に“飛び入り参加”した。
「正尚(
吉田正尚)とかが『阿部ガッツ』と言ってくれて(笑)。あのときは、安達さんから頼まれて、円陣に加わりました」
“ガッツしか勝たん!”と絶叫すると、チームは3連勝。明るく元気にチームを鼓舞した。
シーズン最終盤には勝ちパターンの継投に食い込んだ。プロ2年目の今季は44試合に登板して1勝0敗3セーブ、防御率0.61と好成績を残した。新人王候補の29歳は「平野(
平野佳寿)さんから『あるんちゃう?』と言ってもらった。目の前の1試合に気持ちを込めて、しびれる試合をしていきたい」と2年目のシーズンを全力で駆け抜けた。
写真=BBM