
さまざまな経験を生かしてパワーアップを誓う大関
プロ入り3年目を迎えた左腕にとって、大きな飛躍を遂げた1年だった。先発転向した今季、
大関友久は開幕ローテ入りを果たすと、3月31日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)でプロ初先発を果たし、7回途中1失点の好投で記念すべき初勝利をマーク。8月上旬には左精巣がんの疑いがあると診断されて摘出手術を受けたが、シーズン終盤に復帰。最終的には
千賀滉大、
東浜巨に次ぐチーム3位タイの7勝(6敗)を挙げ、防御率は2.93を記録。2完封は両リーグトップタイの堂々たる数字だった。
一方で悔しさも味わった。中継ぎに役割を変えて臨んだクライマックスシリーズ。
オリックスとのファイナルステージ(京セラドーム)では全4戦のうち3試合に登板したが、第2戦では
杉本裕太郎に被弾して黒星がつくなど、防御率9.82と本来の投球を見せられなかった。「シーズン中の先発でも勝てる試合は何試合もあったし、自分の中で満足できるものではなかった」。今季を振り返る表情はサバサバとしていた。
本当の意味での“一軍定”には来季がカギとなる。「病気のことは心配なくやれている」と、宮崎秋季キャンプには初日から参加。意気込みを強く感じさせた。目指すのは直球の強化だ。「まずはストレート。球速もそうだし、力強さが増せば変化球も自然と生きてくる」と早くも先を見据えている。「もちろん、今年以上にやらないと。2ケタ勝利は目標じゃなくノルマ」と言い切る24歳。病という大きな試練を乗り越えた左腕が、さらなる飛躍を誓う。
写真=BBM