
外野守備にプライドを持つ愛斗。今季こそ、念願のゴールデン・グラブ賞を狙う
「投手のために守る」
「投手の生活がかかっている」
本格的に一軍で主力となり始めた2021年から、愛斗は常にそう発言して外野を死守し続けてきた。もちろん、今もその思いは1ミリも変わってはいない。
そして、その熱い想いは、背番号53のプレーを見れば誰しもに伝わってくる。その証拠に、常に「ライトゴロ」を狙っている、相手走者に「ちょっとでも隙のある走塁を見せたら刺すぞ」と言わんばかりの猛チャージや、タッチアップを防ぐ鬼気迫るフライ捕球に、スタンドのファンから拍手が沸いたことは少なくない。
今季も何度も称賛を浴びた。中でも4月23日
オリックス戦(京セラドーム)のプレーは圧巻だった。2回裏二死の場面、
シュウィンデルの右翼への飛球はスタンドに入るも、愛斗が客席へグラブを伸ばし、ボールをもぎ取った。マウンドの
エンスも思わず大きく両手を上げたたえた。
ただ、愛斗にとっては、これは決して特別なプレーではない。何より大切にしているのは「一歩目」。「それをどれだけ早く、間違えずに切れるかがすべて」だと力説する。また、「前に守備位置を取られると、ちゃんと芯で当てないと頭を越えないので、詰まって落ちたり、ポテンヒットが少なくなるからイヤなんです」と、自身の打者心理から、「一歩でもいいから前に」のポジショニングにこだわりを持つ。
「打者が打ち損じた、詰まった、先っぽだった、こすった、とらえたけど低いライナーは確実に捕ることこそが助けになると思う」が信念だ。こんなにも頼れる野手を持つ投手は幸せだ。
写真=BBM