
移籍した日本ハムでプロ入り7年目、悲願の初勝利を挙げた
プロ入り7年目、本格派右腕がついに覚醒した。
ソフトバンクへFA移籍した
近藤健介の人的補償で加入した
田中正義は、5月7日の
楽天戦(エスコンF)で悲願のプロ初勝利を挙げた。同点の9回に登板し、3者連続三振。圧巻の投球でサヨナラ勝利への機運を高め、野手陣も呼応。
上川畑大悟が放ったサヨナラ打の打球が、記念のウイニングボールとなった。
新天地でポテンシャルが開花した。150キロ台中盤の直球の力強さは球界でも折り紙付き。真っすぐだけでも圧倒できる能力を生かすため、キャンプ中の先発調整から3月上旬にリリーバーへ転向。「僕は押していくスタイルなので、そこは強調されると思います」と、開幕ローテ入りから勝利の方程式入りに目標を変えてから快進撃は始まった。
まさしく適材適所だった。直球とフォークのコンビネーションで空振り三振を奪える王道のセットアッパー像をマウンド上ですぐに確立。開幕一軍入りを果たし、開幕2試合目の4月1日の楽天戦(同)で移籍後、初ホールド。守護神を務めていた
石川直也が故障離脱後は、自然な流れで新守護神に抜てきされた。
クローザーとなった直後こそ失点もあったが、4月26日の
オリックス戦(同)でプロ初セーブをマークすると、お立ち台で涙。「すごくうれしい。本当に最高の景色。これから、この景色を何十回、何百回と見られるようにしたい」。頼りになる守護神が誕生したことで、この試合以降はチームの戦いぶりも安定して3カード連続勝ち越し。5月16日の
西武戦(同)では9回二死から同点弾を浴びて悔しさも味わったが、紛れもなく、序盤戦のチームMVPは田中正だ。
写真=BBM