
マルティネス
この右腕がいなかったら、どうなっていただろう。9回に
ライデル・マルティネスがいるありがたみ。これがドラゴンズの絶対的な強みなのだが……。なかなか出番に恵まれない展開が何とも歯がゆい。
5月6日の
巨人戦(バンテリン)。1点リードの9回表にマウンドに上がると、最速159キロの直球と150キロを超えるスプリットで2三振を奪い、三者凡退で試合を締めた。NPB通算100セーブを達成し、満面の笑みを浮かべた。
「先頭打者を抑えて、いつも通り自分の100パーセントを出せるように意識した。育ててくれた両親のことが、頭に浮かんだ」
5月21日現在、10セーブで防御率は0.00。開幕から昨季の最優秀中継ぎに輝いた
ジャリエル・ロドリゲスを欠く中、苦戦が強いられることもあるが、ライデルの絶対的な安定感が何よりもチームに安心感を与えている。
2017年に育成選手として入団した。当時の
森繁和監督から「日本で成功するなら真っすぐ以外も磨かないといけない」とアドバイスを受け、スプリットを磨いてきた。
160キロの直球と150キロのスプリットという2つの武器が背番号92を支えている。来日当初は細身だったが、地道なトレーニングが実を結んだことも大きい。
田島慎二が「途中から体が別人になった」と驚くほど急激な成長曲線を描いた。
今季で来日7年目。「ドラゴンズに感謝したい。キューバから連れてきてくれて仕事をさせてくれて感謝している。最初は育成でも、あきらめず最後までやろうという気持ちだった。100セーブできて感激している」。ライデルにさえつなげれば――巻き返しを図るチームの合言葉だ。
写真=BBM